トラックの車検取得を格安で行える「ユーザー車検」の利用方法とは
トラックの車検費用は車輌総重量によって違いはありますが、ディーラーや整備工場で車検を受けると手数料や自動車重量税、自賠責保険料などを合わせた総額9.5万円(2t)から23万円(10t超)程度が必要になってきます。
さらに、ここから部品交換が必要な箇所があれば別途部品交換費用がプラスされてしまいます。これからトラックの車検取得をお考えの方の中には高額となる車検取得費用を少しでも抑えようと「ユーザー車検」の利用を考えている方も少なくないと思います。
一度は利用したことがある方ならユーザー車検がどのようなものかを理解していると思いますが、初めてユーザー車検の利用をお考えの方にとっては、ユーザー車検はどのようなシステムで、どこの部分を削れるのか興味があると思います。
そこで今回は、ユーザー車検を受けることによって削れる部分の費用やユーザー車検の利用方法について紹介していきます。
ユーザー車検を行うことでどの部分の費用が削れるのか
基本的にディーラーや整備工場で車検受ける場合の費用の内訳は「法定費用+代行手数料+車検整備費用」で構成されており、「法定費用」とは、自賠責保険料・自動車重量税・印紙代の車検に必ず必要になる諸費用のことで、この部分は削ることができません。つまり、ユーザー車検で車検を所得することによって「代行手数料」と「車検整備費用」を抑えることができます。
ちなみに、ディーラーや整備工場に依頼することで「代行手数料」と「車検整備費用」が加算されるわけですが、「代行手数料」とは陸運支局での手続きを行う際の手数料のことで、1時間程度で終わる作業に数万円の手数料を支払っています。また、「車検整備費用」とは、今回の車検を通すだけではなく、次回の車検まで問題なく走行できるようにきちんと整備・点検を整えた整備にかかる費用のことです。
ユーザー車検の概要と利用方法とは
ユーザー車検とは「ユーザー」つまり、所有者であるあなた自身(代理可)が車検を受検するシステムのことで、全国にある陸運支局で受検することができます。ユーザー車検の受検を開始するには、①自分でトラックの状態チェック ②必要書類の準備 ③費用の準備 ④ユーザー車検の予約、という流れになります。
ユーザー車検の必要書類
- ■車検証
- ■自動車損害賠償責任保険証明書
- ■自動車税納税証明書
- ■自動車検査表
- ■自動車重量税納付書
- ■継続検査申請書
- ■定期点検整備記録簿
ユーザー車検前のチェック項目
- ■トラックに付いている全てのランプ・ライト関係が正常に点灯するか
- ■タイヤの溝の残量(スリップサインの露出)、亀裂、ひび割れ
- ■フロント、側面ガラスの損傷やヒビ(着色フィルム不可)
- ■シートベルト、バックミラー、ホーンマーク、ギアパターン、コーションラベル、発煙筒の有無や取り付け具合
- ■シートベルト警告灯やエアバック蛍光灯が点灯していないか
- ■ワイパー、ウインドウォッシャーが正常に機能しているか
- ■警告器(ホーン)が正常に機能しているか
- ■マフラーの排気漏れがないか
- ■ドライブシャフトブーツに損傷や破けがないか
- ■ステアリングラックブーツに損傷や破けがないか
これらの箇所を自分だけでチェックするのは不安という方も多いと思います。そんな方は運輸支局周辺に設けられている「テスター屋」と呼ばれる「予備検査場」を利用することをお勧めします。予備検査場では陸運支局で実際に行う車検項目と同じ検査を、ユーザー車検前に行っておける民間の予備検査場です。
テスター屋による予備検査にかかる費用の相場は1,500円から3,000円程度が一般的です。しかし、地域によっては予備検査場が無い場合もありますし、一般の方は利用できない予備検査場もありますので、事前に確認しておく必要があります。
ユーザー車検の予約方法
ユーザー車検を予約するには、陸運支局が営業している平日の午前9:00~12:00、午後1:00~4:00に直接電話予約するか、インターネットの「自動車車検インターネット予約システム」の2種類のいずれかでユーザー車検の受検を予約することができます。
ユーザー車検の検査項目(ディーゼル車)と検査の流れ
ユーザー車検当日には、ユーザーと検査官と呼ばれる陸運支局の職員が一緒に実際の車検と同様の「ユーザー車検前のチェック項目」に関する箇所のチェックを行います。
検査時は各検査箇所に対してテスターと呼ばれる器械によって判定が行われ、各テスター前方の電光表示機に「○」が表示されればその項目は合格となります。そして、全ての項目の検査が終了して総合判定に合格すれば新しい車検証の交付を受けることができます。
ユーザー車検を受けるより売却した方がお得かも!?
ユーザー車検には車検費用を格安で行えるというメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。不合格となった場合は、再度車検を受ける必要がありますし、これに伴う手間や費用も必要になります。また、プロの整備士により適切な点検や部品交換が行われていないことから、車検後すぐに不具合が発生することも珍しくありません。
この場合、通常通り使用できる状態にするには、修理を行う必要が出てきますので、ある程度まとまったお金が必要になります。ユーザー車検でその場しのぎで車検にかかる費用を抑えたからと言っても、その後かかる費用やトラックが使用できなくなる可能性があることを考えると、反対に高い車検になるかもしれません。
そのトラックが絶対に必要な場合を除いて、無理をして車検を通すより、売却した方がお得になることもあります。
車検が無いことによるマイナス査定
車検切れの状態でトラックを売却する場合、どれくらい査定額がマイナスになるのか不安ですよね。実際にどれくらいの額がマイナスになるのかは依頼する業者によって違いがありますが、その額が車検費用を上回ることは絶対にありません。自分のトラックの査定額と車検にかかる費用や諸事情を比べて、どちらが自分に最適なのかを見極めることが大切です。
トラックを確実に高く売るにはある法則があります。複数の業者から査定を受けて、各社に価格競争させることが高額売却の鉄則ですが、実際に売る必要はありませんし、現地に査定員を呼んで査定を受ける必要もありません。最近では、一括査定を利用することで誰でも簡単に優良業者の査定額を比較することができます。
さらに、一括査定を利用するメリットとして有名なのが、同時査定による価格アップの効果です。まずは、一括査定を利用して、自分のトラックがどれくらい高く売れるのかをチェックしてから、ユーザー車検を受けてまで車検を通す必要がるのかを考えてみてはいかがでしょうか。